開発のヒント
建物の下に広がるのり面の変状が進行している恐れがあり、住民の方がとても不安に感じていました。この変状の進行を簡単に知るための、のり面調査を行ってほしいとの要望を受けたことがきっかけでした。従来の地すべり調査や観測は、計測機器の設置に機械ボーリングを行うなどとても大掛かりな調査となるため費用もかかり、住民の方には大きな負担となります。現地状況をよくみると、のり面の変状は地表面付近の浅い場所に限定される可能性が高いことが分かりました。従来の観測のように継続的行えるだけでなく、簡易的で安価であることが必要とされたことから、人力で掘削・埋設が可能な簡易ひずみ計(パイプ型)を開発しました。通信を使えばリモート管理も可能(開発中)です。
測定方法
1.概要
表土(概ね1m以内)のすべりを対象に感知する。
盛土など、人力で直径40mm程度の孔が掘れる深さを対象とする。
測定原理は地盤工学会基準【地中ひずみ計を用いた地すべり滑動測定方法】に準じる。
2.特徴
不安定な土塊の動きをパイプの変形によって生じるひずみ変動を電気的に検出して、盛土の動きを手軽に測定できます。定期的に現地でデータロガーを接続して、ひずみ測定を行います。また、データロガーを常設して、等間隔で計測・データ収録することも可能です(通信も可能ですが、現在開発中です)。
測定のイメージ
テスト計測のデータをグラフ化。降水量は気象台のデータを参考にした。
3.設置手順(①~⑤の所要時間2人で10分程度)
① 単管パイプなどで計測地点に孔を開ける。
② ひずみ計(パイプ型)を挿入する。
③ ひずみ計(パイプ型)の周りに砂を充填する。
④ 孔口をセメントで固める。
⑤ 1週間ほど安定させた後に測定を開始する。
穴に埋めて砂を充てんする。アンカーで外的打撃や影響がないように保護する。
設置後の様子