地盤の揺れから住宅の耐震性を診断する新技術

建築の耐震診断は建築士による梁、柱および筋交いなどを図面を基に点検する性的診断方法が一般的です。この手法は、壁の中に入った構造を実際に目で見ることができません。

そこで、地盤の固有振動と建物の振動を測定する動的診断方法として、早稲田式動的耐震性能診断は地盤と建物の共振に着目した画期的な診断方法です。

(特許第3857680号)
平成19年度東京都都市整備局「安価で信頼できる耐震工法・装置」に選定されました。

 

一般的な耐震診断とどこがちがうのか?

<一般的耐震診断>
・主に図面と目視による診断
・改修後の効果が不明確

<早稲田式動的耐震診断>
・地盤と建物の共振診断
・改修後の効果を数値で確認

特徴1.地盤と建物の共振診断

一般的に動的耐震診断は、建物に振動を与えて、その振動特性により耐震性を評価します。早稲田式動的耐震性能診断では、建物に振動を与える代わりに、人体では感じることのできないような常時微動を用いて地盤と建物の共振について分析し、動的に耐震性を評価する手法を開発しました。

特徴2.改修後の効果を数値で確認

数値によって評価されるので、改修前に測定した値が、改修によってどれだけ変化したかが一目瞭然です。また、耐震補強工事中でもどの程度耐震性能が向上したかを確認でき、効率的な改修工事が行えます。

常時微動とは?

常時微動とは地表付近に常に存在している微振動のことです。発生源は、工場や交通機関から発生する人為的なものと、風などの自然的なものがあると考えられています。常時微動を同じ場所、同じ自然条件で測定すると、その周波数スペクトルが極めて相似しています。一方、地盤構造が異なる地点同士の常時微動のスペクトルは異なっている場合が多くこのことは常時微動がその地盤固有の振動特性に関係していることを表しています。
「早稲田式動的耐震性能診断」はこの性質を建物の振動特性の判定に利用できることに着目、開発された特許取得済みの診断法(特許第3857680号)です。地盤と建物の常時微動を観測することにより、建物の固有周期、最大振幅倍率、減衰定数を割り出し、建物の構造特性の実態を解析、評価します。また、「静的診断法」とは異なり、測定対象住宅が建つ地盤の現況を読み込み、その建物のありのままの耐震性能を解析します。

共振診断とは?

地震時の建物被害はそれぞれの建物が持つ振動特性によって大きく変わってきます。地盤の持つ周期と建物の周期が一致すると、地盤と建物が共振し、地震時の揺れが増幅されます。早稲田式動的耐震性能診断では、常時微動を利用して地盤と建物の揺れを観測し、建物の構造からくる揺れのクセを割り出し、耐震性を評価します。

~阪神・淡路大震災に学ぶ~

1995年の阪神・淡路大震災で亡くなられた6,434名のうち、83.9%が建物の崩壊等による死亡でした。

 

1995年の阪神・淡路大震災(西宮市北口町 商店街の家屋崩壊の状態)

 

住宅の持続的な補修や新陳代謝が耐震性維持に重要

内閣府発行の「阪神・淡路大震災教訓情報資料集」によると、以下のような見解が示されています。

  • 被害は1981年以前の建物に大きく、現行の建築基準法・同施行令が改正された1981年を境として建物の耐震性に大きな差のあることが指摘された。
  • 倒壊の最大の原因は、住宅の持続的な補修や新陳代謝が行われていないことにある、との指摘がある。

この資料からも、建物を持続的に補修することは大変重要であることがわかります。地震による建物倒壊の危険性を最小限にするためにもぜひ耐震性能診断をご活用ください。

 

早稲田式動的耐震性能診断とは

早稲田式動的耐震性能診断は、早稲田大学理工学部 毎熊輝記教授により開発された、人体では感じることのできない常時微動を用いた動的耐震性能診断です。

測定模式図と測定装置

装置は小型の地震計2個とノートパソコン、増幅器、(プリンタ)から構成されます。約1時間程度で診断できる手軽さが特徴です。

 

 

 

 

 

測定と解析処理の流れ

換振器を二階の床上に1台 地盤上に1台設置

機器をコードで接続

測定条件を設定

計算解析処理・データ収録

解析結果の出力

計測状況

ニ階床上                         地盤上

 

解 析

振動波形データ

高速フーリエスペクトル変換

振幅倍率と固有周波数の関係

固有周期・Q値・最大振幅倍率を算出

耐震性を評価

 

耐震性能評価の要素

c:耐震性評価指数

T:固有周期。小さいほど地盤と共振しにくい。

R:増幅度(最大振幅倍率)。地盤の振動が建物によってどれだけ増幅されるかをあわらす倍率。

h:減衰定数。大きいほど振動減衰の効果が大きい。 → 逆数の関数Qを導入 Q=1/2×h

 

耐震性能の評価方法

耐震性能評価指数C値は短辺方向、長辺方向それぞれについて以下のように評価されます。

C≦20    :十分安全です
20<C≦30 :安全です(倒壊のおそれは少ない)
30<C≦40 :やや危険です(倒壊のおそれが若干ある)
40<C    :危険です(倒壊のおそれが大きい)

 

耐震診断結果例

耐震診断結果
卓越周期および振動増幅倍率

 

耐震診断にかかる費用

  • 耐震診断費用(3階建てまで)  105,000円~ (耐震補強の提案・アドバイス、工事指導含む)
  • 補強後再診断(3階建てまで)  105,000円~ (耐震補強の提案・アドバイス、工事指導含む)

 

弊社では、早稲田大学理工学部 毎熊輝記教授により開発された、早稲田式動的耐震性能診断に取り組んでいます。早稲田式動的耐震性能診断は、全国各地で実績のある、信頼できる耐震診断です。