社員研修旅行レポート|「土地を読む力」を、農業・食・地域づくりへ

2026.06.13

田中地質コンサルタントでは先日、社員研修旅行で富山県の二つの農園を訪ねました。今回のテーマは少しユニークです。私たちが日々取り組む地質調査——いわば「土地を読む」仕事が、農業や食、地域づくりの現場でどう活かせるのか。それを社員全員で「見て・聞いて・味わって」考える一日でした。

訪れたのは、氷見の丘陵地に広がるワイナリー SAYS FARM と、富山市音川で無農薬のぶどうを育てる オーガニックキッチン音川ファーム。専門分野の外に飛び出して学ぶこの時間は、私たちの仕事の意味を見つめ直す、わくわくする機会になりました。

 

① SAYS FARM(氷見)── その土地の条件を、価値に変える

到着すると、人懐っこい川上犬がお出迎え。栽培・醸造責任者の山崎さんが、海を見下ろす斜面の畑から醸造蔵まで案内してくださいました。

 

印象的だったのは、「ここが“適地”だから選んだのではない」というお話です。氷見の雨量はぶどうの適地のおよそ倍。崩れやすい砂岩・泥岩の地質で、栽培の苦労は絶えません。それでも土壌改良はあえて行わず、その土地の条件をそのままワインの味として表現することにこだわっておられました。斜面の向き、土質、水はけ、微地形——私たちが普段「読んでいる」要素が、ぶどうの味づくりまでを左右している。地質を見つめる目線が、そのまま農の現場につながっていることに、社員一同おどろきました。

 

お昼は氷見の食材を使った大皿料理を、できたてのワインとともに。土地の話を聞いた直後にその恵みを味わう、忘れがたい時間でした。

 

② オーガニックキッチン音川ファーム ── すべてを使い切る発想

午後は、建築家でもある湊さんの農園へ。一度は耕作放棄地となった丘陵地を再生し、無農薬・無化学肥料でぶどうを育てています。

 

ここで心を動かされたのが、「すべてを使い切る」という考え方でした。草刈りはヤギと羊が担い、鶏の糞や魚のアラ、米ぬかで土をつくる。摘み落とした粒はシロップに、落ちた実はスムージーに。「無理にがんばる」のではなく、ふだんの作業がぜんぶ“収穫”になるように発想を変える——その軽やかさと深さに、思わずうなりました。86歳の林さんと二人三脚で地域の風景を次世代へつなぐ姿にも、大きな刺激を受けました。

 

研修で得たこと
帰路の振り返りでは、たくさんの声が上がりました。学びは、次の五つに整理できます。

土地を“読む” ── 斜面・土質・水はけ・地質が品質を決める。地質の知見は、栽培や土地利用の判断にそのまま活きる。
制約を価値に変える ── 「適地でない」条件さえ、工夫しだいで個性やブランドになる。
使い切る発想 ── 「捨てる」を「活かす」へ。無駄をなくす視点は、私たちの仕事にも通じる。
伝え方を磨く ── 専門的な内容も「使うシーン」で語れば伝わる。報告や提案にも応用できる。
次世代へつなぐ ── 後継者不足や農地集約は、地域共通の課題。土地を読む力で、その引き継ぎを支えたい。
二つの農園に共通していたのは、「土地の条件を正しく読み、その土地ならではの価値に変える」姿勢でした。これは、私たち田中地質コンサルタントが地質調査で培ってきた「土地を読む仕事」と、本質的に重なります。そしてこの“土地を通じて地域の役に立つ”という方向性は、当社が掲げるパーパスとも、まっすぐ重なるものでした。

地質調査と聞くと、少しかたい仕事に思えるかもしれません。でも実際は、地図やデータの先にある「土地そのもの」と向き合い、人や暮らし、地域の未来を足元から支える仕事です。今回の研修のように、ワイナリーや農園の現場で「自分たちの技術がこんなところにも活きる」と発見できる——そんな、視野がぐんと広がる瞬間がたくさんあります。

 

 

ヤギに見送られながら畑を歩き、その土地で生まれたワインやスムージーを味わい、仕事のヒントを持ち帰る。そんな一日を「楽しい」と思える人と、私たちは一緒に働きたいと思っています。学ぶことが好きで、土地や地域に興味のあるみなさん。ぜひ一度、田中地質コンサルタントをのぞいてみてください。

最後に、お忙しいなか丁寧にご案内くださった SAYS FARM の山崎さん、音川ファームの湊さんに、心より御礼申し上げます。

 

 

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