日野川流域交流会は2017年3月に、「福井ふるさと百景認定団体」に登録されている。その活動や風景の様子が福井新聞に掲載されてましたので、紹介します。
(新聞記事より抜粋)
夜叉ヶ池を水源の一つに持つ日野川は、丹南地域の人々にとって親しみのある川である。流域ではさまざまな活動団体があり、これらが集まって「日野川流域交流会」を結成している。交流会の会長で福井高専の奥村准教授は、「アフガニスタンで亡くなられた中村哲医師も訴えておられたが、人間にとって水は最も重要な資源」と言う。そして人と血管のように支流を含めた全体がひとつの川であり、環境保全のためには流域全体の連携が欠かせないと話す。
昭和40年代に子どもたちがプールで泳ぐようになると、人々の川への関心は急激に薄くなっていった。効率化のため川が直線になり、ダムが造られた結果、人々の生活は便利になったが、川の水量や流れが変化し生物が遡上しにくいという問題も起きている。そこで見直されているのが、自然の営力だ。「自然の力で、極力管理不要に持っていく。遊水地があって自然に蛇行し、多様な生き物が生息する川は、緩やかに姿を変えながら人間と共存していける」と奥村さん。交流会では砂礫の河原を取り戻す試みも行われている。
奥村さんが京都から福井に来て35年。「保津川と渡月橋、愛宕山が私の原風景だったが、今は日野川とそこから見る村国山や日野山がふるさとの景観になりつつあります」と笑う。教え子の中には地元福井で環境整備の仕事に就き交流会で共に活動する人もいて、感慨深いという。「次世代に景観を伝えるには、まず人々に関心を持ってもらうこと」と、交流会では川と親しむ数々のイベントを開催し、地道な活動を続けている。(福井新聞記事より)