学校の門柱を次の時代へつなぐ教育遺産

1.概 要

この門柱は、昭和5年(1930)に造られた学校の石造門である。79年を過ぎた現在も、地域の遺産として歴史を刻んできた石造門は、まさに貴重な『歴史的文化財』である。現在では、風化等の影響で門柱の一部は亀裂や剥落が発生し、10年程前の修復工事の後も剥落が再発している。

2.保存処理の目的と方法

門柱は、吸水性が高い砂岩を使用しているため、風化による亀裂・剥落が激しく、建立当時の姿が徐々に失われつつある。1999年秋には一度、補修工事が行われた。工事では、風化による埋没部の復旧、劣化ブロックの入れ替え(補填)、補填石(凝灰岩)を補色処理、基礎の吹き付けなどが行われた。しかし、9年を経過した現在では、補色材が薄層剥離によって露出したり、目地も損傷したりと、損傷が著しい状態であった。
今後は内部まで雨水が浸水することで、更なる劣化が危惧されるため修復が必要とされた。

 


保存処理作業中

3.強化保存処理


処理前後の比較
上段・・・門柱正面(砂岩質)
下段・・・門柱裏面( 〃 )
補修跡の剥落やスプーンカットのような角を補填した。