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石塔「九重塔」のTOT強化保存処理
福井県  2009年

九重塔は、慶長14年(1609年)に造立されたと伝えられています。400年以上に及ぶ風化の影響により、塔身や屋根などの大部分で剥離、亀裂による痩せ細りなどが発生し、造立当時の姿が劣化によって失われつつありました。
九重塔の石材は、笏谷石(熔結凝灰岩)です。表面は風化による亀裂・剥離が激しく、立像も細部が欠け落ち、表面が平坦化していました。また、化学系接着剤と思われる材料による亀裂補修の跡が確認できましたが、その後もその周囲には亀裂が生じていました。
亀裂部等から内部へ雨水が浸透することで、更に損傷が進むと危惧されたので、2009年、TOTによる石塔全体の強化保存処理を実施しました。

写真1: 九重塔全景 写真2: 立像(激しい風化で表面が平坦化していた)

写真3:表面に風化・剥離が広がる
写真4:亀裂が開口し風化が進んでいた

1年経過後、強化保存処理前の状態を維持しているのが観察されました。すなわち処理後亀裂・剥離などの損傷は認められず、指で触れても剥落せず、色調の変化もなく、強化保存状態は極めて良好でした。