ドローン河川砂防農業土木防災地質

IoT技術による効率的な調査を活用した新たなふくいの新たな森づくり

 

ポイント

i. 戦後に植栽した拡大造林施策および人工林が収穫時期を迎えている
ii. 人的作業に依存性が高く、熟練工が不足
iii. 同時期に一斉造林したため齢級構成が集中。標準化が必要
iv. 豊かな森林環境には長い年月が必要であり、野生動物の生息環境との関りも長期的な対策と保全が必要である。

林業がかかえる課題 

森林は再生可能な資源として木材利用だけではなく、水源涵養・治山治水・生物多様性など多面的な機能が必要である。
温室効果ガスの吸収源(カーボンオフセット)として期待されるが、伐採が進まない。
日本の森林は循環型社会や経済において大きな転換期にある。森林機能に多様化が迫られる中、新たな森づくりは長期的展望に基づいた森林管理が必要である。

ICT技術を利用した生産と森林の再生へ

生産性向上や豊かな森林を次世代へと引き継ぐために、IoT技術を活用した森林管理を実施する。

 

背景

日本の森林事情

 

日本の森林は、国土の3分の2にあたる約2,500万haを占めます。森林は、林産物の供給、水源の涵養、山地災害の防止等の多面的機能の発揮を通じ、国民生活に様々な恩恵をもたらす「緑の社会資本」です。
林業は伐採後の再造林や保育作業、間伐等の森林整備を適切に継続しなければ、多面的機能が発揮されません。多面的機能は人間だけでなく自然環境に広く恩恵を与える公共財であり、私たちは豊かな森林を継承するために計画的な森林整備が必要です。
昭和30年代(1950年代)以降に進められた「造林拡大」施策により、日本の山間はスギ、ヒノキ等の人工林に変化していきました。その面積は森林全体の4割にあたる約1,000万haにのぼり、過半が主伐可能な林齢に達しています(図-1参照)。これまでの造林、保育による資源の造成期から、現在は資源の利用期に本格的に移行したといえます。

林野庁の試算によれば、スギ人工林を主伐可能な林齢(おおよそ50年)まで生育する造林コストは114~245万円/ha、得られる収入(主伐収入)は87万円/haと算定され、長期投資に見合った収入を得ることは困難であり、国の支援を受けていても森林所有者の手元には、ほとんど利益が残りません。すると、間伐や伐採後の再造林などにかけるコストが捻出されず、森林の荒廃につながっていきます。間伐が遅れた人工林では林床にまで日光が届かず、雑木や草本が育たなくなることで治山や治水の機能が損なわれます。さらに鳥獣害被害が広まり、森林ではクマやシカによる樹皮剥ぎ等、森林の荒廃地、枯損木の増加とった被害があります。
このように、林業は私財と公益財を兼ね備えているため、経済と自然環境をバランスさせることは困難であり、子や孫であっても跡を継¬¬ぐものは極めて少ないです。
林業の復興は、国家施策といはいえ困難ですが、森林資源の利用期を迎えた今、経済の活性化だけでなく、多面的機能を健全に維持する上でも、避けては通れない課題になっています。

図-1 人工林の齢級構成の変化(平成24年3月末現在)

(林野庁,平成28年度 森林・林業白書(森林及び林業の動向),2017.5,pp.40)

 

IoT技術を活用した新たな林業

趣旨

近年、中国を中心とした東アジアでは木材需要が急増し、世界的に木材価格が高騰しています。この波は日本林業にも波及し、平成28年度の木材輸出量は過去10年で30倍以上に成長しました。高齢級の主伐はカーボンオフセットを進めることとなり、地球温暖化対策に貢献します。日本政府は「パリ協定」を踏まえ「地球温暖化対策計画」を閣議決定、2030年度のCO2排出量削減目標は2013年度比の26%減となりました。林野庁では、森林吸収源対策として間伐面積を30万ha/年から50万ha/年まで増やしています。これまで、林業の後継者不足、森林荒廃および更新不足、鳥獣害被害など経済・社会問題が恒常化し、「林業=衰退産業・儲からない」というイメージが定着してきました。いまこそ、国産森林資源の経済発展および森林更新が必要です。国土交通施策では、これまでのコンクリートによるグレーインフラからグリーンインフラへと基盤整備が大きく変化しています。このように環境に配慮した循環型社会(サステイナビリティ)と経済(エコノミー)発展は、次世代社会の継承に重要なファクターなのです。
しかしながら、従来の方法では森林資源を把握するために多くの労力が費やされています。そこで私たちは、LiDAR(レーザー計測器)を搭載したUAVによる、森林資源量計測サービスを提供いたします。一般的なドローンの空撮では、これまで影になって見えなかった密集した樹木下の地表をLiDARでは可視化することが出来ます。そして、現地を奔走していたこれまでの測量とは大きく異なり、脱3Kと時短(10ha当たりの現地測量が約3日のところLiDARでは20分で完了)、更にはVR可視化が可能となりました。資源量を明確にすること、それは眠っていた森林資源の価値を所有者に再認識させ、林業経済を再稼働させることな¬¬¬のです。私たちがサービスする内容には以下のものがあります。
① 【現地調査の省力化、資源量計算】…単木の位置、樹高、胸高直径、材積の取得
② 【現地測量の省力化、用地境界確認支援】…見えなかった地表の地形情報を取得
③ 【生産基盤の向上】…沢・尾根など複雑¬¬地形も3D可視化。路網の整備の提案
④ 【再造林、経営支援】…循環林の創造。生産性の高い再造林計画

図-2  LiDARを搭載したUAVによるスギ人工林の断面

図-3  スギを1本ずつ分解し材積量を求める

 

スキーム

我が国の林業は、生産・流通・加工の各段階が小規模・分散・多段階であり、品質・性能の確かな資材を低コストで安定的に供給する体制が未確立という課題を抱えています。このため、原木が安定的に供給されるためには既存の需要のみに注視することなく、新たな仕組みづくりと、需要者ニーズに適時適確に対応できるような加工・流通の効率化・低コスト化が必要です。そのためには、さまざまなチャンネルを確保し、需要拡大につなげていく意識が重要です。
森林所有者・生産業者・需要者が利益と幸福を得て、新たな森林環境づくりで地域が活性化するビジネスモデルを構築するキーポイントは以下の通りです。
① 需要者ニーズに合わせた無駄のない伐採と製材プラン
② 市場を通らないロットまとめによる物流の効率化(BtoC)
③ 運送距離の短縮化(山土場や中間土場をスキップ。積替えを減らしCO2減少)
④ 「顔の見える木材」の流通
⑤ IoTで作業時短・脱3K。森林の担い手不足を補完。森林所有者の山の価値の把握
⑥ 循環型社会(サステイナビリティ)と経済(エコノミー)発展に基づいた再造林計画

森林所有者・生産者・需要者が利益と幸福を得られる新たなビジネスモデルを構築します。